〜第五夜〜
『
HANSEL UND GRETEL(ヘンゼル兄妹)』あかいろ、みどり、きいろ……
色とりどり虹色キャンディ
こんがり焼けたクッキーはいい匂い
天まで届けと言わんばかりにそびえ立つふわふわスポンジ
仕上げは甘〜い生クリームで可愛く……ね?
食べ残す悪い子には……お仕置きだよ……。
「いってらっしゃい、気をつけてね瑠架……」
「行ってくるよ、瑠璃」
まったく同じ顔をした兄妹は頬にくちづけしあい微笑む。
「そだ!瑠璃!
手術受けて間もないんだからセンセイの言う通り安静にしてるんだよ?
あと、階下には怖い人達がいっぱいいるから……降りちゃダメだから、ね?」
「うん……。だいじょうぶ、おりない。
今日は天気がいいから窓の傍でラジオ聞いてゆっくりしてる……」
瑠璃の言葉に安心した瑠架はにっこり頷き下の階へ降りていった。
ぴしり
それは小さい。とても小さい亀裂音。
「くっ……!で、でちゃう。精子出ちゃうよ!
だ……して。出させて……」
「ダメよ、まぁ〜だダァメ……!」
「イ……カせ……て」
両手足を縛られ身動き取れない瑠架は苦しげにただ喘いでいた。
大きく拡げられたアナルにはぶっ太いバイブが突っ込まれウィンウィン唸っている。
既に数回果たされた跡か、瑠架の色白な腹に透明な液体がへばりつき乾き始めていた。
瑠架を見ている女たちは助けるところか更にバイブを奥へ押し込める者、
「おちんぽの先、栓すると出ない?」
そう言って亀頭を縛る者様々だった。
みしり
小さな亀裂がひとつふたつまた増えていく。
ラジオから流れてくる軽快な音楽が瑠璃の周りを支配する。
あの事件から数年の月日が経ち瑠架の優しさに包まれ、悪夢は消えた。
でも……
と、瑠璃は澄んだ青空を見上げて思う。
この身体から消えない不安はなんだろう?
身震いしたのは吹いた北風のせい?
それとも……
ふいに耳に入ってきたラジオの言葉のせいだろうか?
「ねえ……瑠架、お菓子は甘くて美味しいわ……
でも……
食べつくしてしまったら……お菓子の家は一体どうなるのかしら?」
「瑠璃……?」
いつもと様子が違うと感じた瑠架が首を傾げ、瑠璃に手を差しだそうとして逆に手首を捕まれた。
「瑠……璃……?」
「跡、まだ赤く残ってるよ……」
瑠架はギクリとした。
「あ、あ……これは……瑠璃、違うんだ!」
慌てて弁解しようとする瑠架の唇にそっと指を添えて微笑んだ。
「疲れちゃったから寝るね、おやすみ……瑠架」
「瑠璃……おやすみ……」
瑠架は瑠璃の中で沸き起こりつつある変化に一抹の不安を抱きながら眠りについた。
ぱきん
緩やかにひずみは深く刻まれていく。
「いい子だね、キミは……
自信を持って。
女の子は産まれたときから誰でもおひめさまなんだから……」
強姦され心身ともにボロボロになりつつあるメイドの一人に瑠架は優しく耳元で話しかけていた。
「うっうぅっ……」
「泣かないで……幸せまで涙と一緒に流れ堕ちてしまうよ?」
「キライ……男なんて大っ嫌い……」
ぐしゅぐしゅ泣き続けるメイドを瑠架は笑顔で根気よく囁き続ける。
「おんなのこが泣いていいのは嬉しい時だけ――」
「僕の為に、笑っておひめさま……
嫌いなんて言わないで、僕も男の子だから……悲しくなっちゃうよ……」
「瑠架……」
メイドの涙を舐め取ると瑠架はそっとメイドの手を握り自分の陰部に導かせた。
驚きと嫌悪が入り混じった表情のメイドに構わず瑠架は行為を続けた。
「それに……セックスは嫌な行為じゃない。
交う人によってこんなに変わる。
ほら、痛みから……快楽へ。
僕が――僕だけがキミを天国へ導いてあげられるんだよ」
メイドの瞳から涙は消え、恍惚の光が灯りだす。
瑠架には二つの役目がある。
一つは物心つく前より行っていた優しい癒し、そして……男と同じように暴力行為に及ぶ事でストレスを吐き出す女たちの道具としての役割……
メイドを癒した後、今日も瑠架は容赦なくいたぶられていた。
「たく……
あっちのまんこ、こっちのまんこ。見境なくチンポ嵌めやがって!!この腐れ野郎!」
「あっ……やめ……やめて……
しごと……それが僕の……仕事、だか……ら」
「そうかい!?じゃあこっちの仕事もきっちりやんな!」
「あっ……くぅ……!」
語気を荒げた女が瑠架のアナルにバイブを思いっきり差し、ぐりぐりと乱暴にねじ込ませていく。
「うふふ……磔の格好……よく似合ってるわよ、瑠架……」
「ぁっ……あ゛ぁ゛……」
「いたい?それとも気持ちいいのかしら?」
極限まで重力に逆らったペニスから熱い液汁が溢れだし、びちゃびちゃと床に垂れ落ちた。
「男って堪え性がなくていや〜ぁね……
気持ちいいとすぐ出しちゃうんだから」
「お仕置き……する……?しちゃう?」
女のひとりがニヤリと一本の細いロープを今日も取り出した。
「がぁっ……やめっ……
ぺに、す……縛るの……だけは……」
「やぁ〜よ〜、だってうちらがやめてと言っても男が言う事聞いた試しないもの。
だからヤ・メ・ナ・イ。うふふ……」
だらしなくよだれを垂らす瑠架の口に女はぶにゅりと新しいおもちゃを咥えさせる。
「えいっ!」
ぐりぐりぐりぐり!
「あぐぅ!!」
「すごぉ〜〜い、ビクビク反応してるよ!
じっくり観察するとおちんぽ面白〜い」
「ちょっと違うイキモノって感じするよね……これが普段あたしたちのなかで我が者顔してるのって不思議……」
女たちがきゃいきゃいはしゃいで瑠架のペニスをいじる。
「あっふうっ……ら、らめ……」
「おちんちんってよぉ〜く味わうと美味ひいかも……」
「瑠架が欲しくなったの?」
「ら、らめっ!
ぜんりつせんはだめ!!」
瑠架は必死に首を動かし、制止するが聞き入れなれなかった。
バイブを抜かれ変わりに指がずぶりと瑠架のアナルに食い込む。
「あっ、あぁっ」
「素敵よ、瑠架……
オーガズムに狂った貴方の痴態も……」
女の指がついと瑠架の頬を這う。
「……瑠架……」
予想せぬ声の登場にその場にいた者全員が振り返った。
「可哀想な瑠架……いま……悪い魔女たちをやっつけてあげるね……」
「あんた……なんで……?」
虚ろな瞳でふらふら近寄ってくる瑠璃に女のひとりがなんとかかすれた声を絞り出し尋ねた。
「なんで……?
悪い魔女を倒すのはお伽噺の決まりでしょ……?」
にたりと口を歪め笑う瑠璃に女たちは戦慄を覚え、小さな悲鳴をあげて逃げていった。
「瑠璃……なんで?」
瑠璃はのろのろと瑠架の戒めを解いていく。
「なんで?だってあたしたち助け合って生きてきたじゃない……」
「瑠璃……嬉しいけど、でも……困るよ……」
瑠架は自由になり床に散らばった衣服を拾い集める。
「こまる……?」
瑠璃の手が止まる。瑠架は瑠璃に気づかず言葉を続けた。
「うん……だって、これが僕の仕事だもん……だから……こういうのはこれきり、ね?」
「そう……」
最後の柱に亀裂が入り、お菓子の家はガラガラと音を立て崩壊していった。
崩れる直前……
「瑠架はもう魔女に操られちゃったんだね……ばいばい、瑠架……」
瑠璃の言葉がお菓子の家で寂しく木霊した――
「お菓子の家を食い尽くしたらどうなるか?……だと?」
「決まっている。
奈落の底まで堕ちるだけだ……」
ピッ、ピッ、ピッ……
「生体ナンバーA−五、A−六ともに廃棄処理完了しました」
「ご苦労……」
薄暗い部屋の中ディスプレイの明かりがちかちか辺りを照らす。
ディヌスはつまらなさそうにディスプレイを眺め呟くと、後には事務的に報告するオペレーターの声だけが冷たく残響した――。
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